新建築住宅設計競技1990において原広司氏より提出された課題

住宅は、住むためのエレクトロニクス装置である

に対する応答として構想された住宅である。

エレクトロニクス装置とは、無限に開かれた想像を誘起させる装置の謂いではないか。

現在に無限を開示せしめること。

禅は、この現在を爾今という言葉で表している。

それは、日常の意味世界の基層に横たわる存在そのものが

その互いを重々無尽に映しあう今である。

装置は、底に緩やかな勾配がつけられた池、その池から流れ落ちる水の壁に囲まれた

ガラスの箱と、その上に掲げられた不整形な金属板からなる。

水面の映す自然は、金属板にとらえられ、ガラスの箱になげかけられる。

協力　模型制作、写真撮影　　久武　龍太　　　建築意匠研究室主催