Works 6 界川の家
外部の情報を敏感にまた効率的に内部にとりこみ、 |
決してその物自体、その内部自体、で完結することのないシェルターあるいは装置。 |
Concept 1 庭への呼応
主に個人的な使用に供される1階は、敷地内の2つの庭に開かれ、
公的な使用に供され眺望が期待しうる2階は、ワンルームとなって敷地の外に広がる街と森という庭に開かれる。
Concept 2 光の呼びこみ
それぞれの庭から集約的、効率的に光をとりこむ。
とりこまれた光は、街区構造に呼応しつつこの建物の構造的な要となる銀色のプレートによって内部に相互作用を引き起こす。
集約的、効率的な光を得るための開口部や装置は、建物外観に強くまた独特の存在感をもたらしながら
北の風土に対応した新たな様相とインパクトを街に与えるだろう。
Concept 3 街並への順応と個性の獲得
この地域に定められている隣地境界線から1.5ｍの壁面指定線から、まだ0.75ｍほど有余をとることによって隣地と建物の間に庭を創る。
1.5ｍの奥行きの庭は、冬場においては、雪溜りにしかなりえず
結局、隣地建物から物理的な離隔は確保するものの北国の街並に真に有効な離隔ではありえない。
指定壁面線より有余をもって形成された庭は、これからの建物配置計画への実験的試みとして企てられている。
また従来の街並みにはなかった街路からの奥行きのある視線を確保しながら建物の個性を周囲の建物群から獲得することに寄与する。
Concept 4 積雪への配慮
冬季の過剰な積雪時には、敷地内において効率的な雪の処理が敷地内で完結するようにロードヒーティングを用いた融雪エリアに
それぞれの庭が接するようにしている。
Concept 5 場所性の刻印
界川地域は、旭山記念公園への主要アプローチが形作る街区構造とその構造から45度の角度をとりながら、
ほぼ冬至の日の出の方向と重なり合う軸をもつ2つの街区構造をもっている。
この2つの構造の相克が、この地域に森と都市との力動的な関係をつくりだしている。
建物の主要な軸を、旭山記念公園への主要アプローチによってつくられるものとしつつ、もうひとつの街区構造をなす軸を建物に導入することにより
建物に場所性を刻印しながら、その内部、外部に力動的なシーンを創出することを試みる。
この軸にそって建物に貫入する銀のプレートは、建物の主要な構造になるとともに
建物内部に光の相互作用を発生させる装置として、またその周囲に1階と2階をつなぐ吹きぬけを形成する縦空間誘導装置として作動する。
Plan
Elevation
Section
協力 川人 督代 川人 愛子 川人 寛子 |
Perspective
Data
発表
鹿島出版会 SD2000年１２月号 SD Review 2000
審査：槇文彦.岡部憲明.芦原太郎.小川晋一.鹿島昭一
他
The Architecture of Hiroshi Kawahito/ 川人 洋志の建築 |